J四郎

バーフバリ 伝説誕生のJ四郎のレビュー・感想・評価

バーフバリ 伝説誕生(2015年製作の映画)
4.3
インドのスペクタクル超大作。
インド映画といえばミュージカルかコメディというイメージだったけど、この手の英雄譚は初めて観た。面白いと噂に聞いていたけど、期待を裏切らない濃いエンターテイメント大作だった。

お話はよくある典型的な貴種流離譚。それも今時ここまでド直球なのも珍しいくらい。下手すればショッボイものになるところを最初っから最後まで得体の知れない力技で押し切られた感じだ。ただの滝登りだけであんなに面白くなるとは恐ろしい。スラムのガキからナンタラもここまで振り切ってりゃ良かったのにと観ながら考えた。

出て来るキャラクターも皆、濃い濃い。インド汁が濃縮しまくったような肉食系人物ばかり。主人公やヒロインも良いが、敵のバラーラデーヴァのインパクトが強烈。実に魅力的なワルに仕上がっている。
こういう映画の場合、主役とタメを張るくらいの敵役が居ないと盛り上がらんもんな。

ファンタジー映画か?って美しい映像も多く、シヴドゥの斬新で奇妙な求愛シーンとか見どころも多い。ただ演出がイチイチド派手でケレン味がありすぎるので人によっては胸ヤケすっかもな?
キメのシーンで毎回、人のドアップがバーン!と来るとか笑うやろが。

この映画、後半は過去の話にすっ飛ぶ荒業を持ってくる。先代バーフバリとバラーラデーヴァの2人の因縁めいた話。そして謎の黒塗り部族との大戦争をクライマックスに持ってくることに。しかしあいつらどんな蛮族やねん?ちゅうくらい悪そーです。

この戦争が凄くて、漫画「キングダム」を彷彿とさせる超パワフルな戦国絵巻になる。戦闘シーンは間違いなく「300」の影響を受けてるけどね。
勇壮な音楽が響く中、超人的な戦いをする2人の王子。その対比のドラマとスペクタクルを合わせて描くところも実に上手い。インドでも英雄になる条件は同じだな。

これは想像だけど、色々な国のエンタメをかなり研究してるなと思った。その上で何を取捨選択してやれば面白いのか?分かってる作品だな。
細部っていうか全部がツッコミどころだけど、そんな細かい事も力技でぶっ飛ばすような面白さにやられました。こういうのをホンマの娯楽映画って言うんだろう。
結構、気になる終わり方なので続編も観たくなりました。
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