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バーフバリ 伝説誕生のトルーパーcomのレビュー・感想・評価

バーフバリ 伝説誕生(2015年製作の映画)
4.0
インド映画の傑作バーフバリの前編。
後編である『王の凱旋』はインド映画史上最高傑作、いやひょっとすると人によっては歴代映画ベストにノミネートするかもとさえいえる作品ですが、その王の凱旋を120%楽しむためにはこの『伝説誕生』を必ず視聴する必要があります。
もちろん本作単体でも十二分に楽しめる大作です。

<以下、微ネタバレあり感想>

【1】物語の構成
本作は父子二世代のバーフバリ王の人生を描いた神話的な作品です。
時系列が前後するのですが、父バーフバリと子バーフバリを演じる俳優さんが同じ人なので、混乱しないよう流れをざっと理解しておくことが必要。

◆前編『伝説誕生』
・川で拾われたシブドゥ(子バーフバリ)は成人し、育った村から旅立ち崖の上へ冒険の旅へ
・道中、美女と出会い恋に。彼女へ協力し戦いへ
・戦いの中、自身がバーフバリ王の子であることを知り、父バーフバリ伝説の回想シーンへ

映画の後半は父バーフバリが国王に任じられるまでの物語。
彼の死について衝撃の告白がなされ次作へ続く

◆後編『王の凱旋』
・父バーフは国王に就任する前に諸国漫遊の旅へ。旅先で美女と出会い恋に→結婚。
・この後、王座と女性を争い兄バラーラデーヴァとの確執/お家騒動に発展
・父バーフは死去し、時期国王の座は赤子の、子バーフに託される

回想終わり。壮絶な父バーフの人生を知り、母(父の妻)の悲願である復讐と王座への帰還のため最終決戦へ。

という流れです。
全体像を把握していないと少々混乱する上、伝説誕生単体で観ると、
「なんで回想シーンがこんなに長いの?っていうかほぼ回想シーンがメインかよ!」っていうところで連続ドラマのようにエンドとなり、主人公の物語が途中で切られて終わってしまいます。あくまで2作セットで観るべき作品だと思います。


【2】伝説誕生の楽しみ方
伝説誕生は、続けて王の凱旋を鑑賞した後に再度見返してみると、まったく見え方が変わるシーンが多数散りばめられています。
スターウォーズの4-6を観た後1-3を観て、また4-6を観るときの状況と似ていますが、スターウォーズは結果として違って見えるように後から作ったのに対し、
バーフバリは最初からこの効果を織り込み済みで2作連続して製作されています。つまりリピート前提の映画なのです。
インド人の熱狂的なファンはSWファンと同様、この作品を10回20回と繰り返し鑑賞していることでしょう。

・序盤に幼きシブドゥを守る老婆のシーン
・シブドゥが冒険の旅に出るきっかけとなる願かけのシーン
・ヒロインの属するクンタラ王国の惨状
・現国王が圧制を敷く王国の光景
・小枝を集める老婆
・バーフバリ王そっくりのシブドゥを見た人々の反応
・父王の物語を語る老剣士カッタッパ
などなど、数々のシーンがリピート後はまったくちがって見えてきます。

そういう意味では、初めて伝説誕生を見た時の感想は一度きりしか経験できない貴重な1回といえます。
ダースベーダーが何者かを知らずに帝国の逆襲を見ることができるのは最初の1回だけなのと同じです。


【3】後半の圧倒的映像の暴力
父バーフバリ王の活躍を描く後半の物語、特に大規模戦争シーンは、尋常じゃないほどの予算とエキストラを投じて製作されており必見。
バーフバリにいまいちハマれない人だとしても、この戦争シーンのスペクタクルだけで、見て損はなかったと思えるはずです。
ブラックパンサー~インフィニティウォーの、ワカンダでの決戦バトルを数倍パワーアップさせたような映像がひたすら贅沢に続きます。

個人的にはバーフバリよりもバラーラデーヴァの用いる武器に圧倒的な興奮と快感を感じました。
気になるところがあるとすればCGかな。米国の最新映画と比べると5年くらい遅れているかなという感じがします。


【4】前半のザ・インド映画感
子バーフバリことシブドゥの旅立ちを描いた前半部は歌あり踊りありで、インド映画と言われて思い浮かぶ典型シーンの連続です。
バーフバリの評判を耳にする場合は、本作後半部のイメージで語られることが多いので、そう思って見ると最初は少し意表をつかれるかも。
アバンティカを演じるタマンナーさんが絶世の美女なので、彼女だけ見ているのも手です。

【5】名シーン
・アバンティカとシブドゥが恋に落ちるシーンは驚きと爆笑の混じった不思議な感情がわきおこり必見。
・ラストのスライディングは至高の名シーン。リピートすると震えるほどの感情が起こります。
・オープニングの川のシーンも2周目はスタートから声をあげてしまうほどの名場面に。

■スコア
★4.0で。
4.5でもいいかなと思いましたが、やはり2作ありきの作品だし、単体で見るとちょっとバランスが悪かったり統一性がない部分もあるので。
この作品のみ鑑賞終了した時点では、主人公シブドゥにあまり興味がわかない感じになってしまうのが減点。
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