持て余す

バーフバリ 伝説誕生の持て余すのレビュー・感想・評価

バーフバリ 伝説誕生(2015年製作の映画)
4.0
インド映画っていうと、『ムトゥ 踊るマハラジャ』かインド料理屋で流れる名も知らぬ映画ぐらいで、「なんかボリウッド沢山作っててすげえらしい」というイメージだけが先行しておりました。

ただ、ミュージカルもそうなのだけど、登場人物が突如として歌ったり踊ったりするのが苦手。ああいうの気恥ずかしいとともになにか恐怖のようなものを感じ(個人の感想です)てしまうので、そうする必然性だったり作品世界に落とし込んでくれていないと、どうしても敬遠してしまう。

殆ど見ていないけれど、インド映画ってなんだか歌って踊るイメージだし、実態としてもそうは間違っていないと思う。そんで、このインドで爆発的にヒットした映画はやっぱり歌って踊る……シーンはあるが、もはや別次元。

文化的背景とか時代設定とかはよく知らないけれど、物語の骨子はよくある話。政争に巻き込まれた子どもが、殺されかけたもののなんとか生き延び、成長してから王家に返り咲く物語──なのだと思うのだけど、途中からは政争の発端までが描かれてそのまま幕を閉じるので、このそこそこ長い作が前編に過ぎないことを知って呆気にとられた。

予備知識も専門知識もなかろうと問題なく楽しめる大スペクタクル映画であるのは間違いないのだけど、主人公のシヴドゥがやや(かなりかもしれない)キモい。

とてつもなく高い滝(エンジェルフォールを軽く凌ぎそう)の滝壺周辺で育ったシヴドゥは、生まれた場所が滝の上にあることを知っているかのように、危険を顧みずに岸壁を登ろうとする。この執着は異常で、心配する育ての母親の制止も聞かずにくる日もくる日もクリフハング。

心配する母親がお百度参り的なことをしたところ、初めて効果があったのだけど、今度は滝上から流れてきた木製の仮面にご執心。それが女性の面だと判ると、「この人に会いたいッ!」ってなって、再びクリフハング。

妄想の中の仮面の主を思い描いてとうとう滝上に登りきると、間もなく当の持ち主と邂逅。こそこそ近づき、気付かれないように女性の身体にタトゥー(ペイント?)を施し、自分のものであるという宣言(にしか見えなかった)をする。

この一連の流れ、映像美が凄まじいのだけど、行動自体は完全にやべえやつ。これ単純に文化の差なのだろうか。インド系の人ならばシヴドゥに同調して「解るわ〜」ってなるのだろうか? だとしたら、インド系の人ごめんだけど、気持ち悪いには違いない。

他にも随所に女性がモノ扱いな感じがあるのだけれど、シヴドゥの父バーフバリを育てたシヴァガミは女帝的な立場についていたりして、なんだか不思議(これも凋落のための伏線なのかな)。「法と心得よ!」ゾクゾクするほどカッコ良かったけど。

なんにせよ、少しずつ「?」となるところはあるのだけれど、とてつもない映像とキレキレのアクションで納得してしまう。この「前編」のクライマックスシーンの大合戦は殆ど「三国無双」で、爽快感もあるし特盛スペクタクルで大興奮。

そして、ジャンプ漫画ばりのヒキを作って以下後編。楽しみです。
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