マルケス

ポンヌフの恋人のマルケスのレビュー・感想・評価

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)
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レオス・カラックス監督のアレックス三部作、完結編。
ポンヌフ橋と周辺建物を巨大なオープンセットで再現したことにまず驚く。膨らむ製作費で2度の撮影中断。撮影済みフィルムの内容に惹かれて出資者が現れ、ようやく3年の月日を費やして完成。この経緯からも映画を商業としてより、芸術と捉えるフランスだから完成できた作品かなと思う。

ストーリーにそれほどの面白みはないのだが、芸術家肌のカラックスらしく印象的なシーンが多い。象徴的に使われる火のイメージ。セーヌ河の花火、アレックスの火吹き芸、地下道で燃えるポスター。
見入ってしまうのはポンヌフ橋を花火が彩るシーン。光と音楽。イギー・ポップ、パブリック・エネミーと繋いでのシュトラウス。感情のままに踊るミシェルとアレックス。刹那の燃え上がる愛が鮮烈に描写されている。

恋人だったジュリエット・ビノシュとカラックス監督の仲も、トラブル続きの長い撮影期間で微妙に。ラストでミシェルを生かすかどうかで大勢のスタッフ前に大揉め。で、カラックスに放った言葉が「私を殺すの?」
二人のその後や撮影裏話込みで一つの作品と見なすと、さらに趣が深くなる作品なのであった。
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