hawelka1992

ポンヌフの恋人のhawelka1992のネタバレレビュー・内容・結末

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

とにかく美しい、なんなんだこれは?
踊り、花火、海、雪。

ストーリーも、男女の激しく狂信的な恋愛のありようを描いており、ボロボロの2人に見入る力がある。ただ、なによりも画面が凄すぎる。

伏線回収や引用の多彩さが評価される昨今。作品の歴史的な位置づけというのは、映画を取り巻く環境が劇的に変わっている今だからこそ大切だし、多くの作家が意識的だと思う。アネットを観て、カラックスもそうなのだとも思った。それ自体は素晴らしいことであるが、カラックスが若くしてとったこの作品には、もちろん連綿と続いてきた技術や当時のカルチャーも息づいているが、その全ては画面のために奉仕しているように思える。

社会派の作品というのは、大好きだしあるべきだと思う。問いかけがなければ、描きたいものがないのであれば、映画は成立しない。ただ、あらゆるものが社会の影響下にあるとわかっているいま、パーソナルな、破滅的で誰からも望まれない、しかし、反発とかではなくそうせざるを得ない、最高に美しい2人の世界を描いているこの作品こそ、今私が観たいものだと思った。
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