トランスマスター

ポンヌフの恋人のトランスマスターのレビュー・感想・評価

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)
3.5
♯41(2025年)ホームレスカップルの群像劇

レオス・カラックス監督
アレックス三部作 第三弾

舞台は1989年パリのセーヌ川にかかる
老朽化のため車両も歩行者も通行止めになったポンヌフ橋
主人公はアル中の酔っ払い車道で寝ていて車に片足を轢かれたホームレスで大道芸人のアレックス。
ヒロインは視力を徐々に失いつつある画家志望のホームレス女性ミシェル
ホームレスの長老ハンスが縄張りとして君臨するポンヌフ橋で孤独と絶望の中で出会った二人は、まるで壊れた世界の中で唯一の慰めを見つけるかのように、互いに惹かれていきます。

◆良い点/注目ポイント
・ミシェルの左目は眼帯、髪の毛はボサボサ、小汚い服を着ているのですが、全裸になってペットボトルに汲んだ水で身体を洗うシーンが女神のようで衝撃的でした。
・アレックスも虎刈りのボウズ頭で薄汚れた身体と服で全身から異臭が漂うような役作りに役者魂を見ました。
・フランス革命200周年記念の花火の下での橋の上ダンスが名シーン。

◆総括
・アレックス三部作は、回を重ねるごとにポエムの含有量が減りより一般ウケする映画に進化していきました。

今作のセットはフランス映画史上最大のスケール!
パリの中心地のポンヌフの橋を、
18日間通行止めにして昼のシーンを撮影して、夜のシーンは人口2万人のランサルグ村にポンヌフの橋とパリの街並みを作って撮影。
このセットを作るのに200万本のビスと釘、サッカー場12面分のベニヤ板、320tの足場、従業員の体重合計300t、1300ダースのワイン、生まれた子供が13人、潰れた車が19台、制作に3年の月日がかかりました。その結果1番目の制作会社は破産、3人目のプロデューサーの資金調達で何とか完成に漕ぎつけたヘビーな映画です。

またアレックス三部作は、主人公のアレックスをドニ・ラヴァンが演じているだけで、それぞれ別のキャラクターのため視聴する順番は、どの作品からでも大丈夫です。

-2025年41本目-