呪われた映画として知られている作品。その詳細を収めた、ドキュメンタリーみたいな特典映像もついていてそこまで楽しめます。
ただ、これはかなり堪える作品でした。純粋な意味でいえばあんまり楽しくはない。こうも人間の生々しく醜い部分を、ありのままに、あるいはあえて誇張して表現するのはなかなかすごいことだと思います。観る側もかなりきついし、もしかしたら日本人はなおさらきついかも。
始まってすぐ、今までの二作品と様子の違うドニ・ラヴァンに驚かされます。額をゴリゴリ、あれほんとに血出てるんじゃないの。
どうやら何か特別な撮影手法を使っているみたいで、ざらざらした質感が薄汚さみたいなものをある意味うまく強調している。作品世界を構築するには非常にうまく機能していたと思います。いやらしいくらい。
「汚れた血」を見たばかりだったのもあってか最初ジュリエット・ビノシュを彼女だと思えなかったんですが、笑ってくれた瞬間彼女だと認識できました。彼女の笑顔はどこか特徴的で、独特な暖かみがあってとても美しい。ドニ・ラヴァン同様、他にはないものを持っていると思います。
最後のシーンは、その前の彼女が眼科医のところを訪れた部分を踏まえて考えるとなんとなくどういうことか掴めるんじゃないかなあと思いますが、解釈があっているのかどうかはよくわかんない……でも確かなのは、彼らがどこまでも愛に忠実に生きたということ。そしてそれは時としてある種の闇を抱えたものであるけれど、それでもそれが美しく幸福なものであることを教えてくれる。
それにしてもほんとうに、これを作るのには相当な体力を要しただろうなと思います。すなわち観る側にもそれなりの体力が要求されるので、余裕があるときにぜひ。