わたふぁ

ポンヌフの恋人のわたふぁのレビュー・感想・評価

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)
4.0
ひさびさのポンヌフ。

カラックス三部作の3本目となる作品で、彼が最も手こずった一作。「これが最後の作品」と一度は言ったくらいの集大成だ。

川をつくって、橋を建てて、会社を倒産させて、俳優にケガをさせて、お金と時間をいっぱい使って続行した3年間ってどんな日々だっただろう。

“若き天才”として初監督作品からヒットを連発したカラックスは、その勢いを幾つもの壁に阻まれても、「完成」を目指し続けた。勝ちを見込めない戦いと向き合い続けるって、長く暗い道のりのように思えるけど。

しかし完成し、蓋を開けてみれば、世界中のミニシアターでロングラン上映される評判の良さ。見事に成功した。

努力って報われるもんだ。

懸命に頑張れば、苦労すれば何とかなるって世界じゃないし、センスが前提にあってのことだけど、

監督や俳優や裏方さんの熱量がうまく映像にのって、劇中の花火のように、美しく爆発した良い例だと思う。
一歩間違ったらチンプンカンプンなアート映画で、作者が死んだ何十年後かに評価されるような一作になってもおかしくないのに

これは時代とうまく合致した。
若者という普遍の生き物の
“本音”を映した純愛映画だ。