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ポンヌフの恋人のkyのレビュー・感想・評価

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)
3.7
完璧主義者レオス・カラックス監督に観る作風は、完璧主義故に欠陥、そしてアイロニーを残し物語を引き立てる。
遣る瀬のない境遇にいる登場人物は安直に死を選ばない。
それが彼らを美しくもさせるが、そこには虚無が付いて回る。


あらすじ
パリのポンヌフ橋で暮らす天涯孤独な大道芸人アレックス。
彼は失明の危機と失恋による心の傷に絶望する女子画学生ミシェルと出会う。
2人は恋に落ちるが、同時にミシェルには両親から捜索願いが出されていた…。


感想・考察
完璧主義者レオス・カラックス監督に観る作風
今作の監督レオス・カラックス監督は完璧主義監督ということのようだけれど、完璧主義な映画監督といえば真っ先に上がるのがスタンリー・キューブリック。彼は映画監督だけには留まらず製作や脚本まで1人で担う徹底ぶりだったとして知れられており、代表作「2001年宇宙の旅」は意図せずとも、その徹底ぶりが観客に伝わってくるように思える。そして、レオス・カラックスもまたそうだったよう。
しかし、僕からすると、そのこだわりをあくまでも断片的に、そして垣間見る事になった。というのも、総じて徹底されているもののアレックスとミシェルの2人が全く完璧ではないから。映画における完璧と登場人物のバックグランドを比較しても仕方ないのだが、登場人物の欠陥ともいえる境遇は言葉にできないほど悲痛であって完璧とは程遠い。映画全体としては完璧主義なのかも知れないけれど、登場人物のそれとは相反しており、そこにはレオス・カラックスのアイロニーが見え隠れする作風等のが今作最大の魅力かも知れない。


以降ブログにて
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