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無伴奏のHKのレビュー・感想・評価

無伴奏(2016年製作の映画)
3.6
小池真理子原作の小説を「3月のライオン」などの矢崎仁司が実写映画化。キャストは成海璃子、池松壮亮、斎藤工などなど。

学生運動が主流であったころ、時代の流れに合わせて女子高で制服廃止闘争を率先して行っていた多感な女子高生、響子。彼女が立ち寄った音楽喫茶”無伴奏”で、渉と祐之介、エマという3人の男女と出会う。そこで響子と渉は恋に落ちるが、その恋は衝撃の展開のもと、とてつもなく絡み合いとんでもない結末になる。

成海璃子さんと池松壮亮さんの体を張った濡場が見どころ。しかし、あまり濡場が好きじゃない自分にとってはちょっときつかったのかもしれません。

しかし、それ以上に後半に判明する衝撃の展開なども含めて、いろいろと終盤で畳みかけてくる展開は個人的にはまあまあ好きです。

あくまで、舞台の背景として学生運動がありますが、わざわざ学生運動と絡ませる必要が無いほど、あまり作品としての絡みはなかった。ただ出てくる登場人物が、文学的な格調高い表現で会話してるところはなんか当時の意識高い大学生をオマージュしているようで良かったのではないのでしょうか。

映画の内容とは関係ない私個人の意見ですが、あまり学生運動には賛同できないんですよね。自分の亡くなった父も当時の世情に飲まれてかこの運動に参加していたらしいです。それでも自分としてはせっかく両親が苦労して自分の為にお金かけて入れてくれたのにそんなこともせずに運動してやるべき学問を怠ってしまうところが何とも言えないですね。響子さんがお父さんに会社に支配されてるとか言ってますけど、あくせく働いている父親に対してなんて無礼な事を言っているんだって思いますよ。

最低限大学に行かせても良いと言っている父親を敬ってほしいとあの娘には思いましたね。制服が嫌なら制服制度のない高校行けばよかったのに。

まあ、そんな感情移入することのできない登場人物の泥臭い恋模様と濡場に付き合わされるので、後半まではちょっとたるかったです。

それでも、後半になって衝撃の事実が…ぶっちゃけるとプラトニックな関係なのですがね…そういう展開が自分も嫌いじゃないのでそれを観れて良かったと思いますね。

やっぱり悲劇の純愛は良いですね。全体的に漂うどんよりとした暗い雰囲気に非常にマッチした作品であったと思います。後味も悪くて良かったと思いますね。
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