片腕ファルコン

さようならの片腕ファルコンのレビュー・感想・評価

さようなら(2015年製作の映画)
3.2
まず、アンドロイドって事でかなり嫌な予感がしていた。勝手に『空気人形』や『ラースと、その彼女』、あとチープな邦画でよくあるパターンなんじゃないかと思い込んでいたわけさ。予告編観ても不安が拭いきれない。。

予想していた映画とは全く違っていた。
原発爆発で放射能に侵食された近未来の日本。一昔前ならピンと来ないが今ならこの設定も充分引き込まれます。
そこで国外に逃げれる許可待ちで取り残されている人達と共存しているアンドロイドの静かで不穏な生活が描かれている。。
「結婚すると国外に揃って出られるから結婚する人が増えた」「前科があると出られる順番が低い」とか細かい設定などは素晴らしい。近未来描く上でそういうの絶対大事。

このアンドロイドですが…映画の世界では旧型とされているが、確かに良い演技(?)良い雰囲気醸し出してますね。特に「え?」って聞き直す時の表情ステキ。まぁ感情はないんだけども。

そして知人たちが国外脱出や死などで去っていく中、主人公には【孤独】という感情がくっきりと浮き彫りとされてくる。これこそがこの映画のテーマなんでしょう。

この前、ひとり暮らしの人が孤独死を遂げて、愛犬がその飼い主の肉を食って生き延びていたというエピソードを聞いてゾっとしたが…この主人公とアンドロイドの関係の行く末がコワくなりました。

叙情的で考えさせらえる映画なんですが…一歩間違うと[悪趣味映画]とも捉えられなくない、そんな際どさもありました。
が、そこは人間関係の繊細さを得意とする深田監督、変な方向に行き過ぎる事はありませんでした!

採点としては…若干ゆったりしすぎるシーンも気になり、このくらいの点数にさせていただきます。

※客が異常に少なかったです。やっぱり警戒してるんでしょうかねぇ。。