紫色部

さようならの紫色部のレビュー・感想・評価

さようなら(2015年製作の映画)
2.5
2015.12.16 新宿武蔵野館

素晴らしい箇所とガッカリな箇所とが混在しているため、そういった諸々を評価として落とし込むとなると結果的にものすごく曖昧な数値にしか置き換えられない本作。無機質な主人公アンドロイドが谷川俊太郎の情緒豊かな詩などを読み上げていく奇妙な感覚や、タルコフスキーの「サクリファイス」の空気感、映像の質感を模倣するように溶け込ませながら、一つの独立した世界観を描こうとする心意気などは大変に素晴らしかったと思うがその反面、邦画の悪癖ともいえる登場人物達の大仰な叫びを恰も感動的だと言わんばかりに描き出す描写や、逢瀬を捉える美しくも哀しい二人のシルエットを堂々と塗りつぶす映倫の大きな黒いモザイク、明らかに演出過剰の度を超えた画面の歪み演出などは、それまで積み上げてきた映画的高揚をどん底に陥れるには十分過ぎるほど作用してしまっていたように感じられた。