Osamu

さようならのOsamuのレビュー・感想・評価

さようなら(2015年製作の映画)
4.0
おもしろい。やっと観た。

原子力発電所の爆発で人間が住めなくなった日本から脱出できない白人女性とアンドロイドの話。

深田晃司監督は100人観たら100人がそれぞれ違った捉え方をする映画を作りたいと言っている。つまり、いろいろな視点を提示して観た人それぞれが引っ掛かった視点で考える映画を目指しているということだと思う。

アンドロイドは感情を持たない。持ち主の感情を体験しインプットすることで感情を覚えていく。だから、持ち主が感情についてアンドロイドと会話することは自分自身と会話すること。でも、本人も自身の感情を忘れてしまったり、その時々で異なる感情を持ったりするから、アンドロイドと会話することは自分と会話するのとはちょっと違う。劇中そんなくだりがある。

それって映画を観ることに似ていると思った。映画を観ることで新しく学ぶことはたくさんあるけれど、それを踏まえて最後は自分の内面との会話になる。忘れていた感情を思い出して改めて何かを感じたりするし。

この監督は人間の本性を決め付けたりしない一方で何をやらかすか分からない生き物として人間を表現していると思う。人間を信用できない生き物として表現しているとも取れる。で、人間の代わりにアンドロイドが人間の相棒となる可能性を映した、のではないか。
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