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MILES AHEAD マイルス・デイヴィス 空白の5年間のoldmanSEヨKのレビュー・感想・評価

2.0
【ネタバレ…とかそういう映画じゃないです】
監督&主演(&スポンサー?)のドン・チードルによるマイルスの映画。
敬愛するマイルスをいかに映画に仕上げるか?という、相当な試行錯誤は感じられました。

基本設定は、活動休止していた70年代後半〜80年代前半の空白期間をメインに、架空の記者(ユアン・マクレガー)と架空のセッションテープにまつわる架空の事件の中に、マイルスの過去(おそらく事実に近いモノ)が、時系列を無視しフラッシュバックして挟まれる、実験的ともアーティスティックとも言える特殊な手法で構成された映画でした。

ハッキリ言ってそのシーンのBGMに使われるマイルスの音源を聴いて、曲名やアルバムが分かればベストだけど、大体の時期をパッと理解出来ないと、相当混乱すると思うし楽しめないと思います。

そういう意味で、一応一通りマイルスのアルバムを通して聴いていて、尚且つ時系列も把握してないと…って感じは否めない、マニアックとも言える映画でした。

今まで出回っているスチールやジャケのドン・チードルは、どう見てもマイルスに見えなかったけど、映画が始まると、あの声と衣装と髪型で割とすんなりマイルスとして観られました。

所謂、空白の時期のマイルスは体調も相当悪く、チードルの演技もかなり忠実とも思われる、決してカッコイイとは程遠い歩き方や、マイルスの身勝手な反応、銃を撃ったりカーチェイスしたりとありえない話しなんだけど、あくまで架空の事件という前提でのマイルスの人物像が、なぜか自分のイメージと一致するという不思議な作りでした(笑)。
そういう意味では、自己満兼マイルスファンのために作ったチードルの意図は成功していたのかも。

…という感じで、マイルスの音楽をあまり聴いたことない人にはオススメできないし、この作品から…という人のための入門作にはならないと思います。
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