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マーロン・ブランドの肉声のukのレビュー・感想・評価

マーロン・ブランドの肉声(2015年製作の映画)
4.5
「 私は人間に対して並々ならぬ興味を抱いていた。
ブロードウェーと42丁目の交差点のタバコ店に通い、道行く人たちを3秒間眺めて 短い時間で彼らの人柄を分析しようとした。
表情の裏に本心が隠れている。
人には必ず隠し事がある。 」


マーロン・ブランドが晩年に残した300時間に及ぶ独白。彼自身の肉声で心の闇を照らし出した唯一無二のドキュメンタリー。

演じる役柄から粗暴で野蛮なイメージを持たれがちなマーロンだが、彼の心は繊細でかつ完璧主義であり、極めて感受性が高かったことを知り驚く。

マーロンの演技は没後10年以上経った今も、そして500年後の未来も観客の心を捉えて離さない。彼が自分の頭で考えついた言葉を発しているかのように、自身の感情にまかせて眉や顔の筋肉を動かしているかのようにさえ見える完成度の高い演技は、幼少期に満たされなかった愛情を渇望する心と、「俳優」という職業への深い愛から生まれたものだった。

「演技」という行為に対するマーロンの哲学を知り、気づきを得る。彼の洞察力に感嘆し、スクリーンの中の姿からはかけ離れた人間臭い人柄に心を掴まれた。
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