囁きのwhisper

LOVE【3D】の囁きのwhisperのレビュー・感想・評価

LOVE【3D】(2015年製作の映画)
3.5
ギャスパー・ノエ作品の中では間違いなく一番地味。
愛し合うカップルが男の不貞によって破滅する様を、時系列を逆転させて描く、同監督の「アレックス」方式。

メイン2人(+α)のセックスシーンにかなりの尺を使っているのが特徴。
すでに愛し合っている2人のセックスは、愛を確かめ合うこと。
そこに+αが加わることで、関係が動いていく。乱行クラブやニューハーフを交えたセックスは対立をもたらし、隣に住む少女との3Pによって運命は決定的に変わることとなる。
セックスという営みを通じて揺れ動いていく男女の関係、それを人間の本質として描いていく。

トレードマークとも言える強烈な赤の色彩は、序盤では所々でしか使われていないものの、中盤以降ではいつも通り出ずっぱり。
特に乱行クラブの照明は、当たる角度の違いによって全く別の顔が交互に浮かび上がるような奇妙さだった。

もう一つの特徴である浮遊感のあるカメラワークはほぼなし。むしろ今回は固定中心で、左右に人物が配置されるシンメトリーな構図が多い。「2001年」にも言及されたし、キューブリックを意識したのだろうか?
編集も、ブラックアウトでブチブチ切っていくことが多く、初期の「カノン」とかを思い出す。

3D要素は精液くらい?(モザイクのせいでよく分からんことになってたが)
むしろ「エンター・ザ・ボイド」みたいなドラッグ映像を3Dで観てみたい。
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