映画らしい映画
誠実でありながらオリジナリティ、生きることへの柔らかな眼差しを感じる優れた作品
作品の性格とは真反対な邦題、キービジュアルは噴飯モノ
ジェシーアイゼンバーグ、コメディというタグ目線で見てはいけない作品
ジェシーアイゼンバーグだから「ランド」、キャッチーにしたいからとりあえず語感で「ファンキー」といった低脳ぶり
主人公の家で乗っているのはジープのグランドワゴニア、サイドのウッドパネルが特徴で僕の好きな車
30年近く前に製造が終わっていて、東京だと燃費2キロ前後というオールドファッションな車で、作品の中でもなかなかエンジンがかからなかったりする
この車が象徴的な作品でもある
何かしらが足りていない登場人物ばかりなのだけれど、それでもそれぞれがチャーミングで、どうにかこうにか暮らしている…よくない日もあるけれど、ちょっとしたことでいい一日と呼べる日もあって、人生捨てたもんじゃないと思わせてくれる
オートエアコン、カーナビ、AI、センサー搭載で快適、安全、静かで経済的な車もいいけれど、そんな人生は果たしてどうなんだろうと思わせてくれる
ジェシーアイゼンバーグが相変わらず素晴らしいし、メリッサレオ鉄板のシングルマザーぶりが見事
そして何より脚本
独創的なプロットがうまく構成されている上にディテールが鮮やかでヒューマニズムに満ちあふれている
劇伴の距離感、余韻を楽しめるようにポンと放り投げられたかのようなスマートなラストがそうであるようにものすごく大人だなと
ダメな人にはダメな作品だろうけど、何度も見たい作品