ゆめちん

死の谷間のゆめちんのレビュー・感想・評価

死の谷間(2015年製作の映画)
3.5
死の谷間

放射能汚染を免れた奇跡の谷で、たった一人生き残ったアンは、愛犬と共に自給自足の生活を送っていましたが、安全な避難場所を探して放浪していた元研究員ジョンを助け、共に支えながら生活をしていく中で愛情が芽生えていきます。そんな中、さらに地下鉱山で働いていたケイレブが現れ、それぞれの思いが複雑に絡み合っていきます。

マーゴット・ロビーが強くたくましく生きる女性アンを、キウェテル・イジョフォーが誠実であるものの、心の奥底では何を考えているか分からない難しい役どころのジョンを、クリス・パインが悪意のある不穏さを持った男ケイレブを、それぞれ見事に演じきります。

1人では寂しさや不安を抱き、2人になると安心感や将来への希望が芽生え、3人では不穏な空気が流れ何となく息苦しくて心苦しい、その微妙な感情や心の変化を丁寧に描いています。

特に3人になってからの複雑な心理描写が絶妙で、心の底にある人間の本質が見え隠れし、ジョンとケイレブの心理戦だけでなく、アンが2人をどう見ているかも面白く、引き込まれていきます。

ラストまで緊張感が続きながらエンディングを迎え、結末は委ねられますが、響き渡るオルガンの音が答えを知っているのでしょうか。
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