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ウォー・マシーン:戦争は話術だ!のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.0
2009年、長引く戦争を終わらせるべく、司令官としてアフガニスタンに送り込まれたマクマホン(ブラッド・ピット)。

常に強い訛りと片眉を上げた表情のマクマホンは、腹心の部下とともに「平和で自由な国作り」という理想に向かって「終わらない戦争」に勝利するべく邁進するも、撤退を望む米政権の思惑や、食わせ物のアフガン大統領(ベン・キングズレー)、厳しいマスコミの追求など、山のような試練に迫られる。
実在のアメリカ軍の将軍スタンリー・マクリスタルのノンフィクションを元に、軍事力だけでは勝てない戦争の裏側を描いた傑作社会派戦争映画。
他国から武装勢力を掃討し治安を維持し学校などのインフラ整備をして平和を回復するのが、アメリカ軍のアフガニスタンでの目標。この目標を達成するには、いくつかの難題が立ちはだかる。アフガニスタンに頼みもしないのに進軍したアメリカ軍に対する反感からアフガニスタンの民衆が武装勢力に加わるのを防ぐためにアフガニスタンの民衆の不信感を和らげ自分たちがアフガニスタンの平和のために進軍したことを信じさせること、目の前で向き合う者がアフガニスタン市民か武装勢力か見分けが難しく当惑する兵士の士気を上げること、アフガニスタンへの増援に積極的ではない大統領や政治家を説得すること、アフガニスタン市民の信頼を得るためにアメリカに協力的なアフガニスタンの代表を選挙で決めること。この難題に取り組むのがブラッド・ピット演じるグレン・マクマホン将軍。信念を持ってやる気満々だし仲間から信頼されているけど、部下の兵士が「市民と武装勢力の区別がつかない」と進言するのに対してマクマホンは「混乱しないように自らの責任で動け」と抽象的なことを言ったり、アメリカ軍の増援をヨーロッパの同盟国から求める旅に雑誌の記者を四六時中随行するワキの甘さがあり、作戦中に相手の銃を視認しなければ撃てない混乱があったりなどで思うように鎮圧出来ない。しまいにはアフガニスタン市民から「帰ってくれ」と言われる始末。ベトナム、イラク、アフガニスタンと泥沼化する歴史を繰り越しながら、決して反省しないアメリカを皮肉った傑作社会派戦争映画です。
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