emily

プラネタリウムのemilyのレビュー・感想・評価

プラネタリウム(2016年製作の映画)
3.8
1930年代後半。アメリカ人のローラは霊感の強い妹ケイトと共に降霊術のツアーでパリを訪れる。そこで二人の才能に魅了された映画プロデューサーのアンドレは二人の映画を撮りたいと言いだし、二人は彼の家に住み映画の撮影が始まるが、ケイトは上手く実力を発揮できず、一方姉のローラはカメラ映えし、数々の映画に出演するようになり・・・

 回想により、ローラが知人にすべてを話す手法で語られていく。降霊術は本当なのか?やらせなのか?人は自分の見たい物に自然を心を寄せ、見たい物をその過程で見る。観客にはそれが本当なのかやらせなのか明かされる事はない。イメージ映像とミステリアスな音楽、自身の作品を観ている姉妹を捉えるカメラ、役の中で自分を演じ、そこに亡霊などの霊的な物が交わり、浮遊感と現実的な時代背景が物語に深みを与える。

 美しくも瑞々しい姉妹がたわむれるシーンをしっかり見せる事で、妹がそして姉が抱える苦悩が浮き彫りになる。行き過ぎた映画撮影、ただ届かない物を無情に追いかけ、その頑張った自分が明日の亡霊となる。何かを失いその価値に気が付き、作り上げた自分の理想は追いかけても追いかけても届くことはない。二人にとって幸せだった時間は、何も考えずはしゃいで笑いあったあの日々であろう。しかしその時はそれに全く気が付かず、夢を追い、ない物を求めてしまっていた。人はいつだって自分の見たい物だけを見て、都合よく不必要な物には蓋をしてしまう。しかし本当に大事な物は蓋をしたものの中にあるのかもしれない。
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