Naoto

Mile...mile&a half(原題)のNaotoのレビュー・感想・評価

Mile...mile&a half(原題)(2013年製作の映画)
4.1
JMTスルーハイク。
こんなドキュメンタリー映画あったのか。
タイトルの"mile…mile&a half"のざっくりした意味は、
「頂上ってどれぐらいで着きますか?」
に対する、
「あぁ、もうちょいですよ。(実際はそれなりに距離ある)」
って感じ。

これはやっぱりハイキングイディオムの一つなんだな、としみじみ思う。
自分も聞かれたら言うし、聞いたらこれが返ってくる。
その度に「嘘つけ!」って心の中で言ってるけど、旅が終わった後になるとほんとにあとちょっとだったんだな…と寂しさに襲われる。
旅はいっつもそうだ。
体力的にしんどかったり、臭かったり、腹が減ったり、現実の考えたくないことを思い出してしまったりで、「まだ着かないのか」とか思って、すれ違った人に思わず「後どれぐらいですか」って聞いてる瞬間が一番幸福を感じてる瞬間だったりする。

日が昇ってから暮れる少し前までゆっくりと時間をかけて山を歩く。
考え事をしながら歩くと、次第に考えること自体が尽きてくるから、思考がシンプルになってくる。
思考がシンプルになると、妙に感覚が敏感になってくる。
だから美しい景色がストレートに入ってきて心から感銘を受けることができる。
そこには写真には映らないものが確実にあるのだと思う。

ブレイクの詩に
"the Eye altering ,alters all"
(眼が変われば全てが変わる)
という一節がある。

ハイカーにとってはMile…mile&a halfは眼を変えてくれる重要な言葉だ。
Naoto

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