マーチ

ジーサンズ はじめての強盗のマーチのレビュー・感想・評価

3.9
【下半期鑑賞映画寸評:2017】

《我が道を行け! 👴👴👴》

『ジーサンズ』って…ww 安直な邦題にも程があるでしょw まあ…ただコメディなので、こんな邦題でも許せちゃうあたりが魅力でもあります。原題だと『Going in Style』で“我が道を行く”になるので、少しお堅い感じがしないでもない。そしてちょっぴり猪木感も出てしまう…w

今作はマイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、アラン・アーキンの名優トリオが主役を張っており、3人の年齢を合わせると実に247歳というから驚き! しかも言わずと知れたこの3人、全員がアカデミー賞を受賞しており、現在も引っ張りだこの超絶レジェンドたちな訳で、この3人を捕まえて作った映画が駄作になる訳がない!!

ポスター的にはモーガン・フリーマンが主役っぽいのですがそれはキャリア的な年の功というもので、実際はマイケル・ケイン演じるジョーが主役となっており、その親友にあたるのがモーガン演じるウィリーとアラン演じるアルです。

ジョーが偶々銀行強盗の現場に居合わせ、その鮮やかな手口から自分たちにも銀行強盗が出来るのではないかと思い立つのですが、それは動機の発端に過ぎず、本当の動機は長年勤めていた会社からの年金を一方的に打ち切られてしまったこと。貯金なども無く、孫娘と一緒に暮らす家を銀行に奪われる恐れまで発生し、同じ境遇に陥った親友2人を誘って、家族への想いからジョーはついに決意するのだった。

社会的弱者に救いの手を差し伸べないというか当然の権利を与えない、横暴な福祉の現状と体制、ステレオタイプで進歩の無い在り方については、今年だと他にも『わたしは、ダニエル・ブレイク』という作品で深く提言されている世界的な社会問題の1つであり、今回はコメディの装いがされている作品のためその辺りへの追求を深くしてはいないものの、こういう社会に陥る危険があるぞという警鐘を鳴らし、作品全体を支える根底のテーマとして盛り込んでいることが素晴らしく、バカげてるけど何処か嘘にはなり得ないリアルさがそこにはありました。

とまあこんな風に書くとお堅い雰囲気が漂ってしまいますが、単純にコメディ映画なので終始面白く、ちょっとした感動もある作品なので何も考えず楽しめます。練習がてらスーパーを襲う件はめちゃくちゃ可笑しいし、🏦銀行強盗本番では幾らシミュレーションを重ねているとはいえお爺ちゃんたち独特のゆるゆるテンポなことにかなりハラハラさせられましたε-(´∀`; )

捜査の穴をギリギリのところで突いたトリックもお見事でしたし、伏線も綺麗サッパリ回収されるので、スッキリとした気持ちで観終えることができますし、名優たちの掛け合いのナチュラルさに身を任せるだけで96分はあっという間過ぎていきます。相変わらずマイケルはイケボですし、モーガンはオシャレ、アランは勇ましくてかっこいいので観ていて飽きません! 威勢良く始めたはいいものの、本番前日になると罪悪感が先行してやって来ることで暗く鬱屈とした気持ちになるシーンは特にいぶし銀の演技が光る凄みがありましたし、🏦銀行強盗本番に3人揃ってスーツ姿をビシッと決めていたところは卒倒しそうになるぐらい格好良いので見逃さないように!! あとジョーが家族への想いを馳せつつ強盗へ向かうところとかも物凄くいい!

はい、次から次へと良かったシーンが思い出されてきりが無いのでこの辺でやめておきますが、社会への不満を垂れながらファミレスに居座ったり、テレビを見ながら文句を言って笑ったりと等身大のお爺様たちの姿がそこにはあり、たどり着いた結末の幸福さには最近観た『ローガン・ラッキー』を思わせるものがありました。ジーサンズのテンポとは対照的なスタイリッシュな編集を施していたのも作品の雰囲気を後押ししていて非常に良かったので、名優たちの共演をまだの方は是非ご覧下さい♪


【p.s.】
下半期に突入しましたが、上半期鑑賞映画のレビューをまだ消化しきれていないため、下半期鑑賞映画も一部は寸評で投稿していきます。

いつもとは違い、極々短いレビューで投稿しています。暇があれば付け加える予定です。

従って、いつもの【映画情報】等もカットさせていただきます。

*詳しくは2017年7月3日に投稿している《『ローン・サバイバー』評》内の【p.s.】をご参照下さい。
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