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ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気のDSPECのレビュー・感想・評価

3.7
ジュリアン・ムーアという女優の凄みと、演技に関して決して妥協しない信念に魅了された。
死へのカウントダウンが始まり、登場シーンごとに違う演技プランを立て、それらは全て彼女の緻密な計算で成り立ち、少しずつ病気に蝕まれ死が差し迫っている様子を見事にを演じている。

仕事一筋でキャリアを勝ち取る為に恋愛どころではなく、ましてローレルの職業からすれば、LGBTである事が公になること自体が致命的で、どちらかと言えばあえて恋愛を避けてきた様子さえうかがえる。

恋愛経験が少ないローレルにとってステイシーとの出会いはまさに至福の時で、今迄味わった事のない幸福感で満ち溢れる。

出会いのシーンで年の差故に、ステイシーのアプローチに戸惑い、疑心暗鬼に陥入る様子は、凶悪犯に銃を向け勇敢に立ち向かう姿とは対照的で、恋愛初心者の乙女のようで可愛く好感が持て印象的なシーン。


自分の死を受け入れるまでは苦痛の日々でしかない。だが簡単ではないが一旦死を受け入れば、最愛な人に看取られながら最期を迎えるのはこの上ない幸せだと思う。いやそう思いたい。
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