やんげき

なんて素敵な日のやんげきのレビュー・感想・評価

なんて素敵な日(2012年製作の映画)
3.8
三部作セットで観賞した。

久しぶりに精神に重圧と眩暈と鈍痛もよおさせる映画を観た。
健康な時に観て良かったとまず心から思った。
世界か自分かいずれかが歪である世界観が見事に描かれていた。
カルマと見るか遺伝と見るかと論じたところで、壊れた精神は決して治らないし、壊れた人間に手が差し伸べられる事はない。
欠損し壊れた日常を描いているのだけれど、その視点はミクロとマクロを右往左往していて、まるでドラッグでもキメているかのようなケミカルなものから、陰鬱でドープに決まって今にも死ぬかのように見える危うさがなんとも言いようがなくシュールで哀しいアニメだった。
それでも本人のとっての日常であって、死は遠いところにあったのかもしれない。
時々、本当にそうなのかもしれないと思うような超常的な理論と、哲学的な思考に足を止めるようなところがあり、最終的にはどこまでも広がった世界と時間を感じられる。

色々な事はよく分からないままだけれど、ミニマルな主体的な世界を描写するのにこれほど適した表現もないのではないかと思った。
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