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病院のmiのレビュー・感想・評価

病院(1970年製作の映画)
4.0
タイトル通り病院が舞台の観察映画。
キャラの濃い患者が多すぎて、笑っていいものかどうか逡巡するとともに、何故か笑いがこみ上げてくる。
あんなに人間がゲロ吐くところは初めて見たし、あんなに吐き終わってスッキリして「芸術では仕事がない」みたいな一丁前なこという若者は初めて見た。
演出でもここまでぶっ飛んだことしないことを、生身の人間がやってみせた強烈なシーン。

脳みそこねくり回したり、頸動脈きって血が滴っていたりと、そりゃまーカラーだとこっちがゲロ吐き男になりかねないカットの積み重ねではあったが、これが病院での日常だと考えると医者は本当に凄い精神力だと思わされた。

別に否定するつもりはないけど、
イケメン俳優がカメラを意識しながら患者の前で必死に治療して涙流したり苦悩したりするのは、あまりにもフィクションで、というか嘘じゃねーかと突っ込みを入れざるを得ないので、今後目にしたときは笑ってしまう自信すらついてしまった始末。

元々取材して素材をたくさん見てきた身からすると、こういうワイズマンの作品がアーカイブとして後世に残って欲しい。
とともに、自主規制とモザイクの嵐で真実が裏側に隠れる「ドキュメンタリー」が溢れかえっている現状に激しく危機感を覚える。

ラストの外観が映った時に、ふっと息をつけたのは、観客を病院内に引きずり込んで現実を見せつけたワイズマンの手腕があったからこそ。

冒頭10分ほど見逃してしまった。
タイムテーブルなんとかならんかなと毎回思ってしまう。

2019劇場鑑賞29本目
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