らくだ

ドント・ブリーズのらくだのレビュー・感想・評価

ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)
4.0
デトロイトでのケチな生活からの脱却を夢見るコソ泥3人組が、大金を抱え郊外で隠れ住むという盲目の老人の噂を聞きつけ盗みに入るが、その老人が超ヤバイことに気づいたときにはもう手遅れで、はたして3人はこの恐怖の家から脱出できるのか…?…という、息の詰まるサイコスリラーです。

とにかくこの作品のメインコンテンツでありある種主役であるところのジジイがヤバすぎるんですよね。元軍人で圧倒的に鍛え上げられた戦闘力と、一切の逡巡なくこちらを殺しにかかってくるメンタルを兼ね備え、その無慈悲な暴力装置がそして「無」を見つめたまま音だけを頼りに襲い掛かってくるんですよ。ジジイの盲目設定がなんのハンディキャップにも繋がらないなんて…こわすぎる。それだけでもイヤなのに、家に隠されたさらなるジジイの狂気がめちゃくちゃ陰鬱で胸糞悪くて、先の「物理的な危険度」と「精神的な危険度」がかけ合わさり、演じるスティーブン・ラングの説得力抜群のヴィジュアルも含め完全無欠の「最悪のクリーチャー」が誕生してしまいました…最悪のクリーチャーが出てくるスリラー映画は良い映画なので…
主人公たちコソ泥3人も、その場を打開しようとはしながらもなかなかヤキモキするような悪手を踏んだりはしているんですけど、まぁ…犯罪のド素人が知らん家に閉じ込められてあんなヤバいジジイに追いかけ回されたら正常な判断なんかできないですよね。まぁ彼らはよくやったとおもうよ…(マウント)
作品のスリラーとしてのコンセプトもあって暗闇と静寂が作り出す閉塞感と圧迫感が徹底されていて、観てるこっちは何の落ち度もないのに同じように息をするのも怖くなるような、そんなハードな質感が楽しめる作品でした。


あと、ジジイの飼っている犬がめちゃくちゃ凶暴でこわいんですよ。よだれベッチャベチャだし、やたらでかいし、攻撃の意志が強過ぎだし、話通じないし、愛玩でない「イヌ」という生き物に関して人間が怖がる要素が全部入ってる…そんなさまざまな争いがあるので、イヌちゃんがひどい扱いを受けるのが苦手な方は注意してくださいね。
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