ジャン黒糖

ドント・ブリーズのジャン黒糖のレビュー・感想・評価

ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)
4.1
強盗しに入った家に住む盲目の老人が実は退役軍人で物凄く強かった!
面白かった!

冒頭の住宅街の様子から徐々にクローズアップしていくと早速恐ろしいことがこれから起きることを予見させ、開始早々一気に引き込まれる。
そこから主人公ら強盗3人のキャラ設定、そして舞台となる盲目の老人が住む家の強盗計画、老人にはかつて娘を事故で亡くし高額の示談金を持っているであろうこと、と短い時間のなかで無駄なく説明されていくのが自然でうまい。

そして遂にメインとなる老人の家に侵入するワケだが、ここからはとにかく"音"が映画の重要なファクターとなってくる。
リモコンを使ったセキュリティドアの解除、歩く靴、軋む床、携帯のバイブ…。
観ている自分も、できるだけ息を潜めて見入ってしまう。

ここでも、強盗3人がどこにお金が隠されているか捜索していくなかで画的に家の構造が明らかになる。
音を立ててはいけない分、映像でわからせる説明がとにかく上手い。

1階に降りてきた老人に対し、仲間の一人が威嚇で発砲してからは事態が一気に急変する。
この老人、盲目のくせして一瞬で発砲した拳銃がどこにあるか把握して、一髪で拳銃を掴み強盗仲間に襲いかかり反撃をするではないか…!
これだけでこの老人が只者ではないことが伺える。。

そこからは、この盲目の老人の恐ろしさによって一気に映画が支配される。
老人の前では物音一つ立てればそれは死を意味する。

と、ここまでだったら映画のパッケージからある程度予想のつく話だが、映画中盤、主人公らが地下室であるモノを目撃することでこの老人がいよいよヤバすぎる人物であることがわかる。
これには予想の斜め上で驚愕した。ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』といい、地下には人のおぞましさが詰まっている…。

この映画、上映時間88分とタイトながらその後も電気を落とされた状態での逃亡や、換気口を使った逃亡、割れそうな天窓、車のトランクを使った犬との格闘など、これでもかとアイデアが繰り出され決して飽きない。
それどころか、これ以上長かったらあまりの地獄の連続に心臓が持たなかったかも…笑
地下室に冷凍保存されていたあれなんて地獄というか、、、常軌を逸しすぎでしょ…

映画が終わっても後味の残すラストといい、劇中恐怖を味わった天窓、ドア、地下室、廊下などを写したエンディングといい、ホラー映画としてのサービス精神がてんこ盛り。
大変満足度の高い1本。おすすめです!
ジャン黒糖

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