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提報者 ES細胞捏造事件の旅するランナーのレビュー・感想・評価

提報者 ES細胞捏造事件(2014年製作の映画)
3.9
【ES細胞はあります!】

2005年に韓国で起きたES細胞捏造事件。
生物学者ファン・ウソン氏よるニセ論文を、韓国文化放送MBCの報道調査番組「PD手帳」が暴く。
この実話を基にした映画です。

日本でも小保方晴子研究員による同じような話がありましたけど、こちらはもっと大事になっています。
というのも、ファン氏が「(韓国ではキム・デジュン元大統領が2000年に平和賞しか取ったことがない)ノーベル賞に最も近い男」であり、病に苦しむ患者を救済し、医療分野での雇用を生み出す救世主であると、国を挙げて神輿に祭り上げられていたからです。
そんなスーパーヒーローに疑問を投げかける輩は非国民であり許せないと、ファン擁護・MBC排斥運動が巻き起こります。
テレビ局ディレクターをはじめとした、提報者(内部告発者)側が追い詰められる姿がスリリングに描かれます。
今作でも度々出てくる「真実か国益かどちらを取るのか」という問題を突き付けられるのです。
最後は民主主義国家としての「栄誉ある清廉潔白な(ES)良心もあります!」という声が出て、ファン氏のファンにとっては「そんなの嘘~ん!?」みたいな結末が待っています。

第19回KCスタジオ映画会~韓国映画を見る~