JIZE

マーシュランドのJIZEのレビュー・感想・評価

マーシュランド(2014年製作の映画)
2.4
80年代アンダルシア地方の平穏な田舎町を舞台に左遷された捜査官2人が冷酷な少女惨殺事件を巡り町に隠された"謎"を暴き出す難解なスパニッシュ映画!!今年最大の奇作!!真のキャッチコピーは圧倒的下劣!!題材は極上,構造は下品(示唆)..ジメジメ乾き切る難物な映画でしたね。観た後も俄然疑問が後を絶たないという..要は全編通じ伏線が未回収or回収しても核心部への直結がほぼゼロ。構造に致命的な難がある映画だと。また関連性を挙げれば昨年9月に観た『デビルズ・ノット(2014年)』を骨格的に彷彿とさせ同時に後日譚を連想したくなる監視後の後味。邦題『マーシュランド』も"湿地帯"を指し主に捜査が行き詰まる停滞感or思惑が絡み合う事態の不審性or解決の糸口が闇雲に錯綜する恐怖性,など人間それぞれが抱え込む乾き切った醜き素性を体現したようにも。ちなみに原題『La isla minima』は"極小の島"を意味し邦題より示唆は抽象的。全体的にベテラン刑事ペドロと若手刑事フアンが切磋琢磨し事件の全貌を追う展開は(核心部に響く描写のみ)充足感がある。捜査方針の違いから両者に溝が生まれ尚,旧式な脚を使う捜査方法で事件の全貌を追う地味だけど地道なやりとりが楽しめた。ペドロの忌わしき過去を挿入したのも続編に繋ぐ伏線⁉︎....あの場面が続編を実現して欲しくない意図で1番身が震え戦慄した........

核心部が絡み合う場面は素直にサスペンスフルで楽しめたんですがね..結論部を先に申せば,構造の配し方が極度に不快。この映画の敗因...つまり(刑事側が)関係者から事情聴取or証拠集めor現場訪問など"過去に遡る後退性"が事態の進展性を大幅に抑圧し物語的にも陳腐な構造なんだと。要は現在軸or未来軸で何か特別な加速性を生む構造の描き方をしていないので,黙々と警察の現場検証,証拠集め,中途半端な追跡劇に映画で感じ取れる醍醐味が終始し,今現在に事態が進展を魅せるリアリズムな感覚が実感的に物凄く薄いんだよね..描き方的にこの構造では。

概要。スペインのアカデミー賞®ゴヤ賞で作品賞や監督賞など10部門を獲得したクライムミステリー。監督は本作が初長編作品となるアルベルト・ロドリゲス。また主演には『ゴースト・スクール』のラウール・アレバロ。他アントニオ・デ・ラ・トーレ等が名を連ねました。

蓋を開ければこの映画,かなり怪奇映画かもしれない..構造に致命的な難がある事は上述したが本編も観終えた後も8割強疑問が止まなかった..例えれば本作。映画が"動く"部分は事態の布石が結び付き視覚的な(銃撃戦や追跡劇込みで)分で楽しめるが"止まる"部分はひたすら退屈..要は伏線の影響で"何かが解決しても核心部に直結せずほぼ響かない",どうでもいい箇所が解決し核心部への影響はゼロ。当然その影響でか映画を通じ感じ取れるカタルシスは薄く地味な展開が静寂に進行。核心部に直結しないダミー的な伏線が張り放題なためまさにその繰り返しなので本格ミステリとして俄然機能しない。敗因は軌道に乗る進展性の要素が全体的になさすぎましたね。。映画(題材)自体は極上!!描き方(構造の配し方)が陳腐!!これ程中途半端な描き方をしといて残務処理を観客に委ねるって逆に意気地ではないか監督...

まあ美点もある事はある。拉致された少女2人が惨殺される前に少女の姿が映るネガに収められ同時に真犯人と思わしき人影が映りそれを頼りに刑事2人が突き動く唯一の核心部に直結する捜査場面,つまり唯一推理映画らしい場面の転じさせ方。あと遊び人キニが刑事2人の車に突如忍び込み喉元に凶器を押し付け緊迫する場面..ナイフの出処は伏線的に謎でしたが中々の攻めた場面。またペドロが狩猟宿で帽子の男を監視している時に何者かに襲われ事態が進展する性急な暗転演出など。

この映画に高評価をくだせば現在迄に築き上げた映画的な価値観を否定する事になるんだよ...それほど映画の構造が破滅していた。

総括。
事前PRで"圧倒的評価!!"と釘打ってるが私から言わせれば"圧倒的普通!!"な作品であったよ..映画自体にまず突飛で驚嘆する新種性がない。銃撃戦や追跡劇な描写を全編で織り交ぜればまだ報われたが。貧困,差別,汚職,小児性愛,麻薬密売..など多種に渡る問題提起を広げる設定自体はいいんだが,総括的に観た際に何1つ解決の暗喩を示していない。致命的な欠陥構造ではないか..大抵どんな推理物でも犯人側or刑事側の動機に至る背景を染み込ませ観客に同情の余地を誘う方法が大抵の法則だと思うがこの映画はそこを諸々割愛しやりたい放題に問題提起を投げ掛け観客に後の責任を全て押し付けてしまう。構造的にタチが悪すぎた..最後の暗雲立ち込める不穏性は続編の示唆⁉︎..もうどうでもいいですよ。製作するなら監督変更を求む!!本作を観てスペイン映画が大嫌い!!になりましたね笑。蓋を開ければ本格ミステリと釘打つ監督のやりたい放題な陳腐性が蔓延る嫌悪感が止まない妄想映画でした。本当はね..もっと物語の美点を語りたかったんだけどね..構造の陳腐さに語る気を失せました..予告の方が100倍最高だ!!事前PRの極上感に騙されたい方だけ是非。