tjZero

フェームのtjZeroのレビュー・感想・評価

フェーム(1980年製作の映画)
4.0
N.Y.の芸術高校に入学した生徒たちの4年間を描く。

公立のアートスクールなので、普通の”学園モノ”よりも、貧富、人種、文化、そして、音楽、ダンス、演劇…といろんな個性や才能を持った連中が集まっていてエネルギッシュ。

その、異質なモノがぶつかり合ったり、融合したりする熱気ぶりは、まるで”ニューヨークの縮図”みたい。
だから、大半が校内の話なのに、狭さは感じず、普遍的な広がりを感じられる風通しのいい作品。

それが最もよく感じられるのが、食堂のシーン。
各テーブルでいろんな生徒たちが、楽器吹いたり、歌を口ずさんだり、セリフを暗唱したり、リズム刻んでたり…勝手バラバラにガヤガヤしているんだけど、それがふとしたきっかけでひとつのリズム→曲→歌→ダンス→ミュージカルへと一気に盛り上がっていくのを活き活きと映し出す。
『ザ・コミットメンツ』のアラン・パーカー監督らしいグルーヴのすぐれた捉え方。

1~2年の内は校内の描写が主なのだが、3~4年生になると次第に放課後の活動…バイト、ライヴ活動、恋愛模様、家族との葛藤なんかにも物語がふくらんで、彼らが社会に飛び立つ前の実践的レッスンの趣き。苦い現実なんかもちゃんと描いてて、青春物語としても優秀。

そしてラストの卒業公演、スター俳優は皆無なんだけど、それぞれのキラキラとした才能、世に出てやろうというギラギラとした野心みたいなモノがスケールの大きなラスト・ナンバーの隅々にあふれている。

観ている内に、コチラの体温がグワーッと上がってくるような熱さを持った作品。
tjZero

tjZero