踊る猫

踊る猫の感想・レビュー

2017/02/26
クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)
4.3
セオリー通りに作った脚本に忠実に(本当に「忠実に」)撮ったという感じ。なるほど黒沢清氏らしさはところどころに見られる。冒頭の取り調べ室の場面は知る者なら『CURE』を想起せざるを得ないだろうし、不吉に吹き抜ける風やそれに釣られて揺れる草木、廃墟、拳銃、死体等などが黒沢清氏らしさを示している。だから、悪く言えば自己模倣に堕しているとも言える(が、カメラワークの遊び方などは確実に九十年代やゼロ年代の黒沢氏から逸脱しようとしているようにも見えるので、私は絶対に悪く言いたくない)。言い方を変えて良く言えばそんなあまりにも生々しい細部が、この話を凡庸な「イヤミス」として整理させ難い野蛮な話として成立させているとも思う。だからどう受け取るかは観衆次第だろう。もう少し主人公とその妻の軋轢や連続殺人犯との交友を丁寧に時間を掛けて撮って欲しかった惜しさと、しかしそれをやってしまうとこの尺では収まらなかったんだろうなと言う悔しい気持ち(?)もあってこの点数に。