むらむら

すれ違いのダイアリーズのむらむらのレビュー・感想・評価

すれ違いのダイアリーズ(2014年製作の映画)
5.0
タイの映画ということで、ブラッドリー・クーパーが幽霊をムエタイで倒してるんじゃないか、というくらいの間違った先入観で観てしまった本作。なんのなんの、トム・ハンクス「めぐり逢えたら」のように、誰にでもお勧めできる素敵なラブストーリーだった。俺がフォローしているHIROさんの紹介が気になって観て良かったなと。

体育教師志望の新米男性教師・ソーンと、その赴任先である生徒数たった6人の水上小学校の前任女性教師・エーンの物語。ソーンはエーンの日記を発見し、まだ観ぬエーンが熱心に子供たちを教えようと奮闘する日記での姿に憧れ、いつしか恋してしまうんだよね。

ソーンはエーンに会いに行くんだけど、会えそうで会えない。その寸止め状態も絶妙に観客をハラハラさせてくれる。

あまりに素敵なすれ違いっぷりすぎて、この映画を観てから、道端の草むらや自動販売機の下などを覗き込んで日記を探すのが俺の日課になりました。

ソーンの熱血ぶりもよく描けてて、特に、汽車に乗ったことのない水上小学校の子供たちに汽車を教えるシーンは最高。「許された子供たち」の子供たちとマッシュアップさせたいくらい、純粋な子供たちの姿も胸を打った。

そういえば、「37セカンズ(以前、感想書いたので良かったら読んでください)」でも意味もなくラスト、タイに行ってたけど、タイはそんな場所なんだよね。

俺も、タイは何度も行ったことがある。

水掛け祭りで子供のように水鉄砲をかけあったバンコクの街角、遠く続く砂浜が一大パーティー会場となるフルムーンの夜に見た皆既月食、怖いもの見たさで行ったら、本当に怖くて行かなきゃ良かったと後悔した死体博物館……。

俺がレプリカントで、タンホイザー・ゲートを観たことがなければ、おそらく死の間際に思い浮かぶ景色の幾つかは、タイにあるんだと思う。

全てのタイを愛する人に捧げタイ映画です。
むらむら

むらむら