鮭

永い言い訳の鮭のレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
4.5
やっと、下高井戸シネマに来てくれた。やっと、観られました。
小説も大事に大事に読んで、ずっと寝かせておいた気持ちが爆発。
すごーく良かった。
西川美和監督の中で、わたしは一番すきかもしれない。

原作とは多少、違います。でも、それはほんとに多少。
伝えたいこと、伝わって来ることは、ちゃんと同じやるせなさと暖かさ。
シーンとシーンの繋ぎ目に使う花火やしゃぼん玉、遠ざかるトンネルの映像、、巧みです。もう、巨匠西川美和。貫禄すら感じます。

ラストシーンが一番どう描くんだろうと思っていたけど、すごく良かった。
直接的じゃないけれど、綺麗に片付けた部屋と、窓の外から聴こえるピアノの音ですべてがわかる気がしました。
悲しい涙もあったし、愛おしい涙もあったしで、静かに泣き続けながら観ていたのでした。

もっくんのハマり具合と予想外の身体の大きさはさておき、やはり、ここは竹原ピストルだ。
映画化を聞いて、配役を聞いて、ワクワクした。
予想以上だ!素晴らしい。
彼以外、大宮陽一は居ない。
歌も好きでよく聴くけれど、演技らしからぬ演技がもう、素晴らしかった。何度も悪意ゼロの朴訥とした様子に泣かされてしまった。。

そして、子役2人。
幸夫が幼少期の自分をかすかに重ねる真ちゃんは、どこか影がありながらもピュアなのが伝わる素晴らしい演技だった。
あーちゃんはとにかく可愛くて救いの存在だ。撮影大変だったそうだけど、是枝組から続く子供の自然さを盛り込む演出がニクいー!

深津絵里の透明感も心に入り込んできた。少ない登場シーンであれだけ夏子を見せるためにきっとたくさんの努力があるのだろう。

とにかく、良い作品を観られました。多分、また近いうちに劇場に行くでしょう。
鮭