カミツレ

永い言い訳のカミツレのレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
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タイトルに全て込められている感じ。本木さん演じる幸夫がひどく自己中で子どもじみている。自分の妻が死んだときに他の女と寝ていた罪悪感など、自分のだめな部分に蓋をして長い長い言い訳をひたすらしている様子が腹立たしい。

また幸夫という名前が皮肉めいている。自分のことしか愛してこなかった幸夫は好き勝手やって幸せだったかもしれないが、妻はどうだったのかと。何も文句は言わなかったかもしれないが、全てお見通しだった感がある。だからこそあの携帯の言葉。今までの自分がしてきた行いがついに返ってきたな、と清々した。が、本木さん演じる幸夫があまりにもかわいそうに思えたりもして複雑な気持ちになる。

本木さんがはまり役なのはもちろんだが、突然妻に先立たれ動揺する涙もろいお父さん役のピストルさんもよくて、少ししか出てこないが深津絵里さんの美しさも印象的だった。あとはやっぱり子役たち。あの兄弟の雰囲気はどう作っていったんだろう、と思うほど自然でドキュメンタリーを見ているよう。二人ともすごく愛らしかった。

西川監督は女性だけど男の内面を描くのがうまい。登場する二人の男はどちらもタイプは違えど内面が脆く子どもっぽい。彼らに愛を教え、育てているのは子どもたちなのかもしれないなぁ。
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