是枝さんの弟子、西川美和監督作品。テーマは家族、撮影は山崎裕、制作はＡoi.pro、これだけだと結構是枝さんの流れを汲んだような感じですが、作品自体は是枝さんぽくない。そりゃそうか。
ただやっぱり、家族を描くのはうまい。仲の変化、心の距離感の縮まり方が本当に絶妙なスピードで会話もなんの違和感もない。子役の演技に関しては、是枝さんには敵いませんが、これだけの演技を引き出すのも相当すごい。人物の個性を描くのも上手だし、小道具に象徴的に小出しに使うのもうまい。でもやっぱり、私はこういうエンターテイメントから逸脱した静かな作品というのには、何らかのテーマ性やメッセージを感じることに作品本位の凄みを見出す性格なので、その点ではそこの弱さが致命的に感じてしまう。たぶん、大筋を見ればあぁなるほど、となるんだけど、そこに潜んでる裏のメッセージであったり、純粋にテーマを仄めかす伏線であったりがほとんどないからだろうか。西川監督は今作の原作者でもあるが、やはり小説と映像の間には想像以上に深い溝があるということだろう。
