りりー

美術館を手玉にとった男のりりーのレビュー・感想・評価

美術館を手玉にとった男(2014年製作の映画)
4.5
30年間に渡って、全米の美術館に”善意で”100作以上の贋作を寄贈していた、稀代の贋作者を追ったドキュメンタリー。
彼にとって贋作を作り美術館に寄贈するという行為が唯一のコミュニケーションであったことに、ことあるごとに口にする「you,know?」という口癖に、散らかった部屋とつけっぱなしのテレビに、劇中で描かれない彼の人生が透けて見えるようで切なかった。だからこそ、ラストで多くの人と向き合い言葉を交わす彼の姿や、新たな目標を見つけて歩きだす姿にほっとした。
観賞後、原題『art and craft(芸術と技巧)』の深さに考え込む。芸術と工作、本物と偽物、善意と悪意、さまざまな対立する概念の境界を曖昧にさせる、示唆に富んだ一作。