片腕ファルコン

美術館を手玉にとった男の片腕ファルコンのレビュー・感想・評価

美術館を手玉にとった男(2014年製作の映画)
3.1
30年間、アメリカの46館の美術館で無償で絵画を寄付し続けてた男がいて、実はそれは彼による完璧な贋作だという事が最近判明したのでした!!

彼の名はマーク・ランディス!
ピカソやらディズニーやら全くタッチが違う絵画を模倣しまくっていたのでした。
これで金を取ってたら大問題だろうけど、とにかく彼は無償で提供してたって事で一応法的なお咎めはなし。

そんな彼にスポットを当てたドキュメンタリーなのである。生活は実に侘しいもので2年前に母をなくしてからは天涯孤独。統合失調症でもあり、世間とはあまり話したがらない。が、見た目はとってもチャーミングなオジサンでどこかほっとけない。
彼に言わせれば自分がしてる事は絵画でなく「図画工作」という。たしかにオリジナリティは出さず本物そっくりにしあげる作業はそっちに近いのかも?が、しかし紙を古くするためにコーヒーを塗ったり、額縁に加工を加えたりする作業はまさに彼のオリジナリティといえるでしょうね!

もう1人、ほっとけない人物がいて、美術館の贋作にいち早く気付いた男がいて、彼は数年前、美術館職員として働いていてランディスとも面識があったワケです。そっから彼にとってランディスの存在が大きく報道され、その後も彼の行動や過去の贋作を執拗に追い回す。一見、騙された恨みのようにも見えますが…誰よりもランディスの芸術性に魅了されているのでしょう。

それは最後の再会シーンですごく伝わってきました。

何とも不思議かつ興味深いドキュメンタリーでした。が、地味さは否めません。世の中にはまだまだ変な人(天才)がいるんだろうなぁと思わせてくれた映画でありました!!

僕のような凡人には天才の孤独は分かりませんが。。