ARAMAKISHAKE

コリドーのARAMAKISHAKEのレビュー・感想・評価

コリドー(1995年製作の映画)
3.6
ソ連崩壊直前のリトアニアの首都。
ボロボロのアパートに住んでいる人間たちを淡々と映している。
これはドキュメンタリーなのではないかと一瞬錯覚するけれど、あくまでフィクションの世界。
社会主義の終焉に途方に暮れているのか、大人たちは物憂げな表情で佇んでいる。

ざわざわとした喧騒と、遠くから聞こえてくる音楽というバックグラウンドミュージックが心地よく、90年代の作品にも関わらず、とても古い時代のもののような粗いモノクロの映像とカメラ回しはちょっと退屈。時たま挿入される広場の映像に、様々な国に侵略され続けてきたリトアニアの傷跡が時々映りこんでいる気がして、なんだか生々しい。

台詞はなくとも、映画の中の人々が、生々しくリアルに感じてくるのが不思議だ。情報がなく、彼らが何者であるかもわからないままに、私たちは彼らの表情を読むことを諦め、ただ、対峙することしかできない。
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