青二歳

リンゴのお姫様の青二歳のレビュー・感想・評価

リンゴのお姫様(1974年製作の映画)
5.0
チェコの美しいお伽話。パペットアニメーションならではの美しさ。コミカルな作品で有名なポヤルだけど(DVDジャケみたいな可愛いもの)これはトルンカ“真夏の夜の夢”と比肩する美意識に満ちている。この美しさを共有できなくて残念。
19世紀チェコの作家エルベンによるチェコの民話・昔話を題材としたファンタジー。英題は“The Lady of Apple”。ハーピーかわいい。魔女の造形好きだなあ。
超常的で圧倒的な美しさのお姫様は自然の世界の力をあらわした存在で、魔女は超常的であるが人の智恵と欲望によって成り立つ存在。その対決は宿命的である。一方、王子はどこまでも受け身。凡夫。だから中盤までの魔女の禍々しさも引き立てるし、終盤の頑張りも印象的になってるのかと思う。

チェコアニメといえば日本だとシュヴァンクマイエルくらいしか知名度高くないのかもしれませんが、伝統の人形劇からチェコではパペットアニメーションが盛ん。なかでもパペットによるストップモーションを確立したイジー・トルンカはパペットアニメーションの父と呼ばれます。そのトルンカと共同制作をしていたブジェチスラフ・ポヤル。彼も名作をたくさん残しています。
主にコミカルな作品で知られていますが、こんな美しいファンタジーも作っているんですね。
青二歳

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