fujisan

13時間 ベンガジの秘密の兵士のfujisanのレビュー・感想・評価

3.7
2012年 リビアのアメリカ在外公館襲撃事件を扱った、実話ベースの映画。

当時、カラー革命と言われた中東諸国の民主化ドミノにおいてリビアでもカダフィ大佐が失脚・死去。ようやく独裁から民主化かと思いきや、内戦状態に陥ったリビア。

国と国が一定のルールに基づいて戦う戦争よりも、誰が敵で誰が味方かわからない内戦のほうが危険と言われますが、まさにそんな映画です。

アメリカはこの事件で現役大使を死亡させてしまう失態を演じ、当時の国務長官ヒラリー・クリントンが責任を追求され続けたことを思い出します。


映画では、民間の警備会社GRSに所属する元海兵隊のジャックを主人公とし、大勢の敵に囲まれたCIAの拠点を仲間の結束で守り抜く決死の戦いが繰り広げられます。

日本での劇場公開はなし。評価もさほど高くない映画ですが、大爆発好きなマイケル・ベイ監督作品にも関わらず、戦いの恐怖を地味に描く良作だと思います。


良かったなと思ったのは、アメリカ側に殺されたリビアの民兵たちの遺体に、母親たちがすがり、泣き叫ぶシーンが描かれるところ。

こういった映画ではアメリカ=正義、のみの図式で語られることが多いですが、死はどちらにとっても哀しいことであるというニュートラルな視点が描かれていたところが良かった。
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