ギャス

ディストラクション・ベイビーズのギャスのレビュー・感想・評価

3.2
理不尽に降ってくるテロや、社会への破壊衝動と一言で片付けることもできる映画だろうが、
後先を考えずにやりたいことを思いっきりやったことがあるかというテーマにも思えた。


柳楽には自分よりも強い者(達)に襲いかかる、つまりやる以上にやられるという見えないルールがあった。(結局、社会的生命や命そのものを惜しまない彼の方が強いのだが)
その点、菅田はクズだが、柳楽がそれを特に問題視しないことで、自分のやりたいルールでやりたいことをすればいいという価値観がくっきり浮かび上がる。「楽しけりゃいいんだ。」

あまりにとんでもない価値観だが、現代人はそこからあまりにも遠いところに来てしまったのかもしれない。
自分を解放することのない、できない我々。
そしてベイビーズ、赤ん坊には原始の衝動しかない。


暗示的に取り上げられる男達の力に満ちた「祭り」。やはり平常とは別の価値観に支配される時間。
その衝動と何が違うのだと問いかけるようなラストだが、おそらくそこに真っ向から襲いかかる柳楽の祭りもクライマックスを迎え、間も無く終わりを迎えるのだろう。
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