何を以って”終戦”か。
終わっていない。残り、続く。
精神面の話は勿論のこと、地雷の様な負の遺産も全て残る。
お金を払えば誰かが処理してくれる？
そんなわけもなくて。
当事国の当事者が責任を背負うしかない。
ナチスの遺産は、ドイツの少年達に。
ただ、ここが戦争の大きな疑問点。
「目の前の誰に、どの憎しみをぶつければいいのか。」
それが軍曹や観客の感情の分岐点であり、さらなる凄惨な事実を創り出す根元な気がしてなりません。
憎しみなんて山ほどある。
ドイツへの憎しみはドイツに。そりゃそうだ。
あるドイツ兵に家族を殺された恨みは、別のドイツ兵に。
国家という想像上の産物の中で、同じカテゴリーに属する人間に。
そうするしかない。
その加害者のドイツ兵がその前に家族を失ってても、恨みを晴らすドイツ兵が同じ年頃の家族を残していても。
その延長にある、少年兵達の遺産始末。
もはや当事者なのか、空腹に喘ぎ、地雷で手足を吹っ飛ばし、母親の名前を泣き叫ぶ彼らにそれでも憎しみを預けるのか。
敗戦国が可哀想、そんな短絡ではなくて。
勝戦国は果たして何に勝ったのか。
だからこそ、デンマークの軍曹とドイツの少年達が分かち合う空間は、地雷だらけの海辺の本来の美しさを増幅させるシーンです。
デンマーク人監督の描く、戦後ドイツの物語。🇩🇰🇩🇪
プロパガンダ着色料無使用、バイアスを抜き取ったドキュメンタリーです。
１つだけ文句。
邦題のセンスが本当に分からない。
