真田ピロシキ

ヒトラーの忘れものの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

ヒトラーの忘れもの(2015年製作の映画)
3.5
第二次世界大戦後、デンマークの地雷除去を命じられたドイツの少年兵と彼らを監督する軍曹。5年も自国を占領していたドイツへの憎しみと親子くらいに年の離れた少年兵への感情が交差する。国とそれに属した一個人とでは切り離して考えるべきだし、そうできかけていたのにあるきっかけからまた憎しみを抱いてしまう。実際に交流があってもそうなるのだから何の面識もない人々を国家と一緒くたにしてヘイトをぶちまけるのは更に容易い。戦後の一時期を通して現代に置けるヘイト問題を垣間見せる。

被害者であったデンマーク人が加害者のドイツに非人道的な責めを負わせる立場の逆転もあり、一歩間違えると「どっちもどっち」と冷静で中立的になったつもりの卑怯な相対主義に堕してしまう危険もあった。この点に置いてははっきりデンマークの方に非を鳴らしていて言い訳じみた態度はない。これがデンマークとドイツの合作で主導しているのはデンマークなのが意義深い。絶対悪として確立されているナチスドイツ絡みでも自国の負の歴史には向き合う。それを成立させているのにはドイツ自身がきっちり歴史と向き合っているのと無縁ではないと思う。真に愛国的な態度とはこういうことだよ。

今日も体調のせいであまり意識を集中出来ていなかったのが残念。