たお

ヒトラーの忘れもののたおのネタバレレビュー・内容・結末

ヒトラーの忘れもの(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ヒトラーの埋めた地雷を撤去する少年兵の話。
一つ一つ手探りで撤去していくさまに、鬼気迫る静かな恐怖を感じる。
食糧もない劣悪な環境で、帰郷を夢見ながらも、ふとした瞬間にあっけなく死んでいってしまう少年兵たち。戦争が終わってもなお続く残酷をまざまざと見せつけられ、息が詰まる。

また。彼らを監視する軍曹の感情が二転三転していくさまが緻密に描かれている。
少年兵の死に心痛み彼らに同情しながらも、愛犬が死んだ際には怒りを剥き出しにしており、非常に人間らしい。

戦争が終わっても、立場に翻弄され、政府や軍の圧力で自らの意思の通りに動けないもどかしさ。戦後、真の意味で自由になるためには、膨大な時間と労力で、人の心を少しずつ変えていくことが必要だったのだろう。それは大きな意味では地雷撤去作業のようだ。
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