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ARIA The AVVENIREのMondeFilmのレビュー・感想・評価

ARIA The AVVENIRE(2015年製作の映画)
4.0
 ARIAシリーズについて皆目検討つかないまま視聴。平成初期漫画、アニメーション作品の残り香を求めて。『Gunslinger Girl 』や『灰羽連盟』、『ローゼンメイデン』のような(Ariaもイタリアモデル、ヴェネツィア)。音楽が良い。北川勝利。『新しい靴を買わなくちゃ』。OPもいちいち良い。このくらいの緩やかなストーリーと美しい描写、音楽。劇的なスペクタクルが無くても良いのかもしれない。収益は見込めないのかもしれないが...本編はどうなんかな。原作へ向かわせるような映像作品。よかった。一週間に一回のアニメだったら見てると思う。2話が白眉。幻想的。眼のクローズアップ。上空から落落下。日常の喜びを「不思議」と形容するだけで無く実際に不可思議へ。人智を超えたものとの邂逅。『ポケットモンスター水の都の守り神』の街並みを散歩する感じ。短く纏まっている印象。受動性の強いコンテンツはなるべく早く短い方が好き。
 こういうのんびりした作品はやはり『けいおん!』と比較されるように思う。昔『けいおん!』の論文読んだ時、物語上に女性しか登場しないので鑑賞者が恋愛の主導者になる、「けいおん!」はポルノである...みたいな論旨に疑問を持った。この作品がそこまで大ヒットしなかったのを見るとポルノ論はあまり的を得ていないような気もする。ただ彼女らの生活を見ていたい。時代性の違い?2000年前半はセカイ系とかだった...「ビビビと来る」とかエモーショナルな物事について、ミラクル。母性、ヤンキー。オタクとヤンキーの親和性。理論的で無い物事を描写や勢いで誤魔化す。『プロメア』。あまりこういうノリは得意じゃ無い。
 「信じればミラクル」、「にゃにゃ」。「にょ」のようなそれ単体の萌え?テンプレート化した萌え、当時の約束事。なぜ使われなくなったのか?特徴的な語尾とオタクの歴史。少女漫画っぽいデフォルメされたキャラクターへの変化。平成の残滓?「恥ずかしいセリフ禁止!」。
 海外をモチーフにする際の難しい点、言語の問題が残る。1話目、イタリア語(?)のアカペラが挿入されるが(カンツォーネとか言うべきなのかも知れないが...)、キャラクターの会話に用いる言葉は日本語。どうすれば解決できるのだろうか。ネオヴェネツィアとかアクアとか設定が色々あるんだからわざわざイタリア語使う必要も無い気がします。雰囲気は出るけど。
 実際の街はどこでもここまで綺麗ではないだろう。しかしこの漂白された世界に憧れるのはなぜなのか。フィルムカメラ、レタッチ、アニメーションへの欲望。ユートピア、現実では無い美しい世界への欲望。アイちゃん可愛い。評価が割と高いのはそもそもファン層しか見ないからかもしれない。
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