イチロヲ

痴漢電車 聖子のお尻のイチロヲのレビュー・感想・評価

痴漢電車 聖子のお尻(1985年製作の映画)
3.5
農協から特殊任務を引き受けたチンドン屋(螢雪次朗)が、毒入り米俵事件を端に発した、現金1億円の捜索劇を繰り広げる。「グリコ森永事件(毒入りスナック菓子事件)」の時事ネタを盛り込んでいる、新東宝配給のピンク映画。

内容は至ってシンプルな犯人捜しのクライム・コメディ。現金を受け取ったはずの犯人が密室で殺害されたのを契機にして、痴漢ついでに電車内を練り歩くチンドン屋が、現金をもつ共犯者を突き止めようとする。

現金受け渡しのシーンでは、黒澤明監督「天国と地獄」の車窓シーンを現金入り米俵で再現。痴漢電車の経験を活かして容疑者を特定していく展開が面白く、チンドン屋のゲリラ撮影も効果を上げている。

殺害された犯人の恋人(彰佳響子)が実質的なヒロインだが、登場が遅いため女優中心のドラマはまったく動かない。チンドン屋の助手(麻生うさぎ)が、屋外に出ないところも心惜しい。滝田印のピンクとしては、全体的にテンションが控えめな印象。
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