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バーニング・オーシャンのpanpieのレビュー・感想・評価

バーニング・オーシャン(2016年製作の映画)
4.1
2010年4月20日。
マイク・ウィリアムズは仕事で暫く家を留守にするので家族で幸せな時を過ごしていた。
マイクはメキシコ湾上で石油採掘施設〝ディープウォーターホライゾン〟で現場監督を任されることになっていた。
車でヘリポートまで行き妻に別れを告げそこからヘリで〝ディープウォーターホライゾン〟へ。
相棒のジミー・ハレルも一緒だ。

〝ディープウォーターホライゾン〟はイギリスの石油会社BP社の所有する石油採掘施設でその巨大な姿はまるで戦艦の様だ。
海底を掘り海底油田から石油を組み上げるのだ。
運転を前に様々なテストをクリアしなければならない。
作業員達の命がかかっているし問題があれば爆発してしまう危険性を伴う。
ところがBP社はコスト削減を図る為に安全性を二の次にし工期の遅れからセメントテストを省いた。
会社は従業員の命を軽く考えているばかりか利益優先をとった為に大惨事を招いてしまう。
マイク達作業員の運命は?


今作ではマーク・ウォールバーグは安定の演技で勿論良かったがカート・ラッセルが私的には良かった。
すぐには分からないほど老けてしまってびっくりしたけどとてもいい役だった。
キャスティングもチェックせずに観たので他の方のレビューは読んでいたものの時間が経って忘れていた。
カート・ラッセルといえば「物体X」のマグレディ役やスネーク・プリスケン役やが浮かぶ程初期作品ではかなりファンだったのでその後ヒゲを剃ってからは私の熱量も半減してしまい「バックドラフト」は観たもののそのうち出演作も観なくなり今作で久しぶりに観たのでなんだか嬉しかった。
今作ではスネークとは違ったヒゲだったけど男臭溢れる役は当たり役だった。
雇われ人は雇用主の重役に立てつけないのは分かっているがヴィドリンを無理と分かっていても止めて欲しかった。
マイクの妻役の色っぽいケイト・ハドソンはなんとカート・ラッセルの実の娘だそうだ!
全然似てなくてびっくり!
全然似てないといえばケイトは実際の奥さんとも似ても似つかずエンドロールでは驚いたけど…(^^;;

ジョン・マルコビッチも私には久しぶりだった。
相変わらずの人相で役にぴったり。笑
カート・ラッセルとやりあう所は迫力あった。

それにしてもまたもやびっくりな邦題を付けるのは何故?
そろそろ邦題やめませんか?笑


事故で亡くなった11人の尊い命にはそれぞれ大切な家族があった筈だ。
泥水を組み上げ始めた時「これでやっと家に帰れる」と皆口を揃えて言っていた。
手を抜かずにテストに時間やコストをかけていたらこんな大惨事に至らなかった筈だ。
これは人災だ。
危険と隣り合わせの安全とはもろいものだな。
過信せず何事においても優先されるべき事を怠った代償は大きい。

ずっと重低音でなり続ける音が緊張感を増す。
テストをする度に海底から水疱が上がり時折小さな爆発をしている様に海底が膨らみ更に水疱があちこちから上がる時など爆発するんじゃないかヒヤヒヤした。
加えて管を駆け上がる泥水の圧力で管が少し膨らみ閉じた弁が小刻みに震えている描写がいつか来る爆発を今か今かと急かしているかの様だ。
圧力に耐えられなくなってボルトが飛ぶ所や泥水除去後の天然ガスが充満してきて周りの空気全体が揺れて見える描写など観ている側を焦らせ怖がらせる効果は絶大だ。
流石ピーター・バーグ!
本当に手に汗握った。
この迫力を映画館で観て感じたかった。

今作も実話に基づいている。
過去作品の「ローンサバイバー」や「パトリオットデイ」の様にエンドロールに亡くなった人々や生き残った人物やその家族が描かれている。
もうずっとワンパターンでいいのでピーター・バーグ監督にはこれからもこの路線で行ってもらいたい。
自作はどんな実話なのか今から楽しみにしている。
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