青二歳

歌ふ狸御殿の青二歳のレビュー・感想・評価

歌ふ狸御殿(1942年製作の映画)
5.0
【ローザンヌバレエコンクール開幕記念】頑張れ日本勢!
和製ミュージカルの多幸感!狸映画の巨匠(勝手ながら命名)木村恵吾。今作は狸たちのシンデレラ!若尾文子"初春狸御殿"('59)は"王子と乞食"パロでしたがコレは面白い。
父の死後、養母と義姉きぬたにイジメられながら暮らす狸娘お黒の物語。仙女は白木蓮の精と来ましたか、なるほど。"シンデレラ"はパフォーミングアーツで現代もなお多様な解釈がされていますが、木蓮の精とは新しい!
恋する狸御殿の若君にはハッピーエンドの前に"白鳥の湖"の試練が待っていたり、脚本も上手い仕上がり。いやー憎いね。

オープニングクレジットでまず衝撃。キャストに明らかに芸者の名前がある…!まさかこれが名に聞く"うぐいす芸者"か!!レコードが普及する中、歌の上手い芸者は"うぐいす芸者"として大人気だったんですね。小唄等でお座敷を魅了した方々。今も活躍する小唄や三味線の師匠なんかは、こうしたうぐいす芸者として名を馳せた方々のお弟子さんもある事でしょう。
いやー初期の狸映画はすごいですね。まさに日本における全パフォーミングアーツの総決算、キメラ映画!ミュージカルシーンなんて見事な日舞の総踊り。圧巻。このレベルだと…エキストラも唄と踊りを本職とする芸者衆っぽい…もしそうならエライこっちゃ。

音の鳴る"ドレミ階段"がロマンチックでステキすぎる。狸御殿…もうこの頃から完成されているのですねえ、いや見事。偉大なるキメラ映画。
青二歳

青二歳