サンヨンイチ

レディ・プレイヤー1のサンヨンイチのレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
4.1
何にでもなれるユートピアと
何も未来がないディストピア。
荒廃した現実世界から逃れようと
皆がゴーグルを装着していて、
一見して
あるべきでない未来に思える。
「現実から逃れることなく、
 まっすぐに向き合おう。」なんてエンドが目に浮かぶ。

既視感あるディストピア映画かな、と思いきや
冒頭よりエンジン全開。
説明台詞もそこそこに、
とりあえず見れば分かるぜ。と言わんばかりの
圧倒するレース展開はほんの数分であるが、
息をのむCG映像と脚色のない音響により
現実よりもリアルな体感を味わえる。
実体のある車が出るわけでもなく、
ブレーキ音などもあくまで映像に合わせただけなのに
体感としては強く心に残るとは皮肉にも思えるが
映画の製作を突き詰めるとこれほどになる、という
事実検証となる素晴らしいシークエンスだと思う。

キーを探す冒険ものでもあり、
カーチェイスあり、仲間との絆あり、
アッセンブル展開あり、アクションあり、
詰められるものは全部入れ、
とにかくテンポよくどんどん色変わりしていく忙しなさが
仮想世界という舞台との相性も良く、
ごちゃごちゃしているものの
作品全体の粗さを感じるには至らなかった。
物の数は多いが整理整頓されていて、
膨大な量の図書館に訪れたような
内側から湧き上がるワクワクを感じてしまう。

これは映画館で見たほうがよかったなあ、
と思う映画1位。
どこかでまた再上映されることを願って、
その時はIMAXで。