このレビューはネタバレを含みます
現実がリアルなんだ。
定期的にブロックバスター映画を出荷する監督であるが、名匠かどうかはまちまちなスピルバーグ監督が繰り出す、多分過去最高傑作の出来を誇る作品の誕生だ。
当初は、「有名どころの出オチで終わるんだろ？」的な訝し気に満ち満ちた冷めた感想だったのですが、いざ鑑賞すると、直ちに監督に謝罪したくなった。最高すぎるのだ。
2時間半という長尺映画であるにも関わらず、それを全く感じられない仕上がりだった。
何よりも、「Oasis」の世界観設定が秀逸だ。
最低限の説明は具体的に、緻密に描いているが、本当にそれは氷山の一角、最低限に過ぎない。道中に出てくる様々な設定や世界観構造の考察は全て鑑賞者に任せているのだ。本来であれば、説明不足は共感の難しさに即決するのだが、不思議とそれが起こらない。
その不思議が、視聴者の想像力を強く刺激してくる。時折見せる、まだ見ぬ世界の側面を知れたときなどはもう堪らないし、謎解きの過程で、謎解きをするだけでなく世界を紐解いていくのだから中だるみを起こさずに楽しめたのだろう。
勿論ながら、最高なゲームの世界のみで完結していることはない。プレイヤーは現実世界に生きているのだから。だが、現実世界の構成も優れている。
同年代の子ども達が集って、強大な大人（今回の場合は巨大企業）に立ち向かうという、昔から不動である王道を、恥ずかしげもなく前面に押し出してくるのが本当に好感を持てたし、不思議な世界観と調和できていたのだろう。
いや、下手な考察はいい。
もうオタクに刺さりまくる映画であることこの上ないのだから。ポップな音楽に、ポップなキャラ、画面中に敷き詰められるネタの嵐。どうして冷静でいれようか？ スピルバーグが有り金叩いてやりたい放題をやっているのがひしひしと伝わってきてそりゃもう大騒ぎですよ。
『AKIRA』や『アイアンジャイアント』など、もう言及したいのはたくさんあるが、何よりも興奮したのはメカゴジラVSガンダムだ！
終盤の、とてつもなくアがる大乱闘のシーンのクライマックスとして登場するのだ。どうして興奮しないだろうか？
少し、エメリッヒ版ゴジラを模して作ったっぽいメカゴジラだが、細かいことはいいだろう。世紀の対決なのだから。
予想外に楽しかった本作。
願わくば、利権問題で実現しなかったウルトラマンVSメカゴジラが観たかった。だが、それなくしても十分に楽しめることは間違いない。
スピルバーグ万歳、声高らかに宣言できるだろう。
